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『坊っちゃん』紹介と感想:あだ名で見える人物像

作品:坊っちゃん作者:夏目漱石投稿日:

『坊っちゃん』では、東京育ちの青年が地方の中学校へ赴任し、同僚や生徒との衝突を語る。歯切れのよい一人称に引っ張られて読めるが、その勢いに少し立ち止まると、人との距離の測り方も気になってくる。赤シャツや野だいこといった呼び名は、登場人物を鮮やかに印象づける。同時にそれは、坊っちゃんが相手をどう分類したかを示す札でもある。一度ついた呼び名から離れて相手を眺めるのは、読者にも難しい。面白いあだ名に笑った後で、人を短い言葉に閉じ込める危うさが気になった。人物紹介そのものが、語り手の性格紹介になっているのが巧みだ。痛快な筋を楽しんだ後で、語り手の判断を一つずつ考え直す余地もある。まっすぐに生きることの魅力と、それだけでは渡れない世間の複雑さが、ともに残る小説だった。