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『草枕』紹介と感想:非人情という距離の取り方

作品:草枕作者:夏目漱石投稿日:

『草枕』は、画工が山あいの温泉場を訪れ、人や風景を芸術の側から眺めようとする小説だ。出来事の多さより、眺め方が少しずつ変わる過程に魅力がある。旅の静けさの中にも、人の感情は入り込んでくる。画工が求める非人情は、人間への無関心と同じではないように思う。感情に巻き込まれず、いったん絵を見るように世界を眺めたいという願いなのだろう。ところが実際に出会う人には、それぞれの事情と動きがある。姿を美しく捉えたつもりでも、その人の生は画面の外へはみ出す。距離を取ろうとする努力そのものに、画工の人間らしさを感じた。美しく眺めれば苦しさから離れられるのか、離れたままで人を理解できるのか。風景の描写を楽しみつつ、その二つの問いが行き来する時間を味わいたい作品だ。