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『舞姫』紹介と感想:エリスの生活から眺める

作品:舞姫作者:森鴎外投稿日:

『舞姫』は、ドイツで学ぶ太田豊太郎と踊り子エリスの関係を、豊太郎が過去として語る小説だ。異国で得た自由の感覚に、仕事や帰国の問題が重なり、個人の選択が一人では完結しないことを示す。エリスを豊太郎の恋の相手としてだけ見ると、物語は青年の挫折へまとまりやすい。けれども彼女にも暮らしがあり、将来を託す切実さがある。豊太郎には帰る国と経歴がある一方で、関係の破綻が彼女にもたらすものは同じではない。二人の立場の非対称さを考えると、悲恋という言葉だけでは足りなくなる。恋愛の物語の下に生活の問題が横たわっている。豊太郎の苦悩を理解することと、その選択を肯定することは分けて考えたい。華やかな文体に身を任せながら、説明の外側にいる人へも注意を向けると読後の印象が変わる。