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『たけくらべ』紹介と感想:信如の言えなさを読む

作品:たけくらべ作者:樋口一葉投稿日:

『たけくらべ』は、吉原に近い町で暮らす美登利や信如らの、子どもから大人へ移る時期を描く。遊びや意地の張り合いには明るさがあるが、その先には家業や町の仕組みが待っている。信如のぎこちなさには、相手への意識と、自分の置かれた立場への意識が重なっているように見える。思っていることを言えないだけなら、いつか伝わると期待できる。しかし二人の間には、成長とともに別々の道へ向かわせる力もある。短い反応や避けるような態度を読むと、沈黙が感情の欠如でないことがわかる。口にしないまま濃くなる気持ちの描き方が忘れがたい。変わっていく心だけでなく、変わるよう求める周囲の力まで感じられるのが切ない。声に出したときの文章の流れを味わうと、子どもたちのにぎわいと沈黙の両方が近づいてくる。