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『たけくらべ』紹介と感想:遊びの中に映る大人社会

作品:たけくらべ作者:樋口一葉投稿日:

『たけくらべ』は、吉原に近い町で暮らす美登利や信如らの、子どもから大人へ移る時期を描く。遊びや意地の張り合いには明るさがあるが、その先には家業や町の仕組みが待っている。子どもたちの対立は小さな喧嘩のようでいて、金銭や家の立場が関わっている。大人になる前から、すでに世間の序列を覚えてしまっているのだ。その一方、ふとした親切や気遣いは、その区分を越えようともする。無垢な子ども時代が突然終わるというより、遊びの内部に初めから大人社会が入り込んでいたと読むと、作品の寂しさが一段深く感じられた。変わっていく心だけでなく、変わるよう求める周囲の力まで感じられるのが切ない。声に出したときの文章の流れを味わうと、子どもたちのにぎわいと沈黙の両方が近づいてくる。