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『破戒』紹介と感想:父の戒めをどう受け止めるか

作品:破戒作者:島崎藤村投稿日:

『破戒』は、被差別部落出身であることを隠して暮らす教師、瀬川丑松の苦悩を描く小説だ。父の戒めと、自分を偽らずに生きたい願いの間に、差別を生む社会の視線が重くのしかかる。父の教えは、息子を縛る命令である前に、差別から守ろうとする切実な工夫として読める。だから丑松がそこから離れようとするときも、単純な反抗にはならない。守られてきたことへの思いと、その守り方では生きられない苦しさが同時にある。題名の意味を個人の約束違反だけに縮めず、その約束を必要とした環境へ広げると、父子の関係がいっそう痛ましく見えてくる。丑松の勇気だけに注目すると、告白を強いる社会の問題が見えにくくなる。隠すことを責めるのでなく、なぜ安心して語れないのかを問いながら読む必要を感じる作品だった。