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『羅生門』紹介と感想:老婆を見たときの正義感

作品:羅生門作者:芥川龍之介投稿日:

『羅生門』は、荒れ果てた都で行き場を失った下人が、門の上で老婆に出会う短編だ。生きるために何をするかという迷いが、相手の言葉をきっかけに行動へ変わる過程を鋭く描いている。下人が老婆の行為に怒る場面では、それまでの迷いが一時的に消えたように見える。他人の悪を目にすると、自分の立場が急にはっきりするのだろう。しかし、その正義感がどれほど安定したものかは、後の展開で揺さぶられる。怒りの強さが倫理の確かさを保証しないところが怖い。相手を責める言葉を持つことと、自分の行動を律することの間には大きな隔たりがある。下人の変化を遠い時代の出来事として眺めていると、自分の判断にも似た身勝手さがないかと問い返される。短さの中に、環境と言葉が倫理を動かす怖さが詰まっている。