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『羅生門』紹介と感想:限られた場面の密度

作品:羅生門作者:芥川龍之介投稿日:

『羅生門』は、荒れ果てた都で行き場を失った下人が、門の上で老婆に出会う短編だ。生きるために何をするかという迷いが、相手の言葉をきっかけに行動へ変わる過程を鋭く描いている。門の下から上へ移るだけで、下人の気分も読者の見えるものも大きく変わる。移動距離は小さいのに、物語の振れ幅は大きい。背景説明を長く置かず、見たもの、聞いたこと、行ったことを近づけているため、判断が変わる瞬間を逃せない。短編の密度とは事件を多く詰めることではなく、一つの動作に複数の意味を持たせることなのだと、この構成から感じた。下人の変化を遠い時代の出来事として眺めていると、自分の判断にも似た身勝手さがないかと問い返される。短さの中に、環境と言葉が倫理を動かす怖さが詰まっている。