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『三四郎』紹介と感想:与次郎の軽さが動かす物語

作品:三四郎作者:夏目漱石投稿日:

『三四郎』は、地方から東京へ来た青年が、大学生活や新しい人間関係に触れていく小説だ。三四郎の目には都会の物事が大きく見えるが、何をどう受け止めるべきかは、すぐにはわからない。与次郎は言葉も行動も軽快で、考え込む三四郎とは対照的だ。彼が間に入ると、止まっていた関係が動く一方、本人の思惑を越えたことも起こる。親切とお節介、行動力と無責任さは、案外近いところにあるのかもしれない。三四郎だけを見ていると静かな成長物語に思えるが、与次郎へ目を移すと、人は周囲の速度に押されて変わるのだと感じる。出来事の意味を遅れて知る感覚が、青年の時間を生々しくしている。三四郎の戸惑いに付き合うと、理解できないまま過ごした経験にも、文学になる厚みがあると思えてくる。