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『それから』紹介と感想:平岡との友情にある負い目

作品:それから作者:夏目漱石投稿日:

『それから』は、親の援助で暮らす代助が、友人の妻である三千代への思いと向き合う小説だ。整えられた生活と鋭い社会批評の下で、彼自身の選択を先延ばしにしてきた時間が動き始める。代助と平岡の関係には、過去の選択が現在まで影を落としている。昔はそれで収まったと思ったことが、年月を経て別の意味を持ち始める。友情を守るためだったという説明も、いまの感情から見れば揺らぐ。人は一度決めた理由を同じ形で保てないのかもしれない。三人の関係を恋の競争だけで捉えず、過去をどう引き受け直すかという問題として読むと切実さが増す。考える力があることと、その考えに生活を合わせられることは違う。代助に共感しながらも、彼を支える人や選択の影響を受ける人へ視線を戻したくなる作品だった。