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『蜘蛛の糸』紹介と感想:極楽と地獄の距離

作品:蜘蛛の糸作者:芥川龍之介投稿日:

『蜘蛛の糸』は、地獄にいるカンダタのもとへ、極楽から一本の糸が下りる物語だ。短い筋の中に救いへの期待と他者への態度が凝縮され、読み終えてからも判断の難しさが残る。極楽の静けさと地獄の苦しみは、強い対照をなしている。読者の視線がその間を行き来すると、同じ出来事が見る場所によってまったく違って感じられる。下では必死の行動でも、上からは一つの成り行きとして見える。その隔たりに落ち着かなさを覚えた。美しい風景は悲惨さを和らげるだけでなく、苦痛の届きにくさを際立たせる働きもしているように思う。教訓を一言で取り出すだけでなく、上を見る目と下を見る目の違いを追いたい。糸の細さが、希望の頼りなさと、人との関係の危うさを同時に感じさせる。