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『雪国』紹介と感想:窓に重なる像を読む

作品:雪国作者:川端康成投稿日:

『雪国』は、雪深い温泉地を訪れる島村と、そこで生きる駒子や葉子との関係を描く小説だ。風景と人の姿が鋭く結びつく一方、眺める者と暮らす者の距離がつねに気にかかる。移動中の窓に見えるものは、外の風景と内側の人の像を重ね合わせる。どちらか一方をはっきり見るのでなく、重なりとして知覚するところから、作品独特の感覚が始まるように思う。人と景色が互いを照らしながら、実体から少し遠のくのだ。美しさを味わいつつ、人物が像として見られることの距離も感じたい。冒頭から、見るという行為自体が物語の主題になっている。美しい描写へ惹かれたあとで、その美を誰の視線から見ていたのかを考えたくなる。雪景色の静けさと、そこで生きる人の熱が溶け合い切らないところに強い余韻がある。