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『ごん狐』紹介と感想:贈り物に添えられない言葉

作品:ごん狐作者:新美南吉投稿日:

『ごん狐』は、いたずら好きの狐ごんが、兵十との関わりを通じて行動を変えていく童話だ。読者にわかっている事情が人物には伝わらない構造によって、善意と理解の距離が強く感じられる。ごんは物を届けるが、その理由を兵十へ説明できない。行動は目に見えても、誰が何のためにしたのかが伝わらなければ、別の意味に受け取られる。贈り物が増えるほど気持ちも届くはずだと思いたくなるが、そこには飛び越えられない隔たりがある。目に見えるものと心の中の意図を、物語が丁寧に分けている点が印象的だった。沈黙が展開を動かしている。気持ちがあれば自然に伝わる、という期待をこの物語は揺さぶる。ごんと兵十のどちらに寄り添っても、相手に見える情報が違うことを忘れられず、結末の沈黙が長く残る。