『コンビニ人間』紹介と感想:まねることで作る自分
『コンビニ人間』は、コンビニで長く働く古倉恵子を主人公に、周囲が求める普通と、本人にとっての暮らしやすさを描く小説だ。見慣れた店の動きが、一人の生活を支える秩序として立ち上がる。恵子が周囲の話し方や振る舞いを取り入れる姿は、独特に見える。同時に、私たちも環境に合わせて言葉や服装を変えているのではないかと思う。違いがあるとしても、単純に本物と偽物へ分けられるわけではない。主人公の行動を鏡にすると、自然な自分という考えも揺れる。社会に馴染むための調整が、どこから不自然と呼ばれるのかが気になった。恵子を理解できるかと考えるうちに、他人の生を測っている自分の基準も見えてくる。働き方や人生の型を当然とする会話を、少し立ち止まって聞き直したくなる作品だった。(作品情報:文藝春秋)