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『博士の愛した数式』紹介と感想:数式の美を読む楽しみ

作品:博士の愛した数式作者:小川洋子投稿日:

『博士の愛した数式』は、新しい記憶が長く続かない数学者と、家政婦、その息子の交流を描く小説だ。数は難しい問題としてだけでなく、人と人が言葉を交わすきっかけとして現れる。数式の細部をすぐ理解できなくても、博士がそこに何を見ているかは、話す姿勢から伝わる。答えを出す効率ではなく、関係の整い方を面白がる視線があるのだ。学校の問題を解くときとは別の、数に近づく時間を感じられる。知識を小説の飾りにせず、人の心が動く場として扱うところが魅力だった。わからない部分があっても、関心を持つことから始められる。一緒に過ごしたことを同じように覚えていなくても、その時間の価値までなくなるわけではない。数の美しさと日々の気遣いが結びつき、関係を続けることの意味を静かに考えさせる。(作品情報:新潮社