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『舟を編む』紹介と感想:西岡との違いが生む協働

作品:舟を編む作者:三浦しをん投稿日:

『舟を編む』は、馬締光也らが辞書「大渡海」の完成を目指す小説だ。言葉を集め、意味を考え、確かめる地道な仕事が、人の関係や長い時間の流れと結びついて描かれる。馬締と西岡は得意なことや人との接し方が違う。その違いが最初は距離になっても、同じ仕事に関わることで互いの必要性が見えてくる。似た者同士でなくても、相手にできることを認めれば一緒に進めるのだ。明るく振る舞う人物にも思いがあり、黙って働く人物だけが誠実なのではない。仕事の物語が、複数の関わり方へ開かれている点が心地よかった。普段は完成した辞書しか見えないが、その一項目にも人の判断と手間がある。言葉を使うことを少し丁寧にしたくなると同時に、何かを皆で作る時間の尊さが残る作品だった。(作品情報:光文社